人間中心設計の備忘録②

HCDサイクル

  • HCDは使いやすさを継続的に向上させるサイクル
  • 4つの主要な活動と、1つの予備的な活動からなる
人間中心設計のプロセスの計画
  • HCDを活用したプロセスの計画をする
  • プロジェクトの目標を考慮して、HCDサイクルを開発のプロセスのどの段階に、どのように導入するのかを計画する
利用状況の把握と明示
  • 利用者の利用状況を理解し明確にする
  • さまざまな調査やインタビューにより、利用者の行動とその背景や要因を理解することが重要
ユーザーの要求事項の明確化
  • 利用状況を体系的に記述し、満たすべき要件を定義することが重要
ユーザーの要求事項を満足させる設計による解決策の作成
  • 定義された要件に基づき、最適な解決策を生み出す活動
要求事項に対する設計の評価
  • 成果物の出来栄えを要求事項に照らして評価し、当初定義した利用者の要求を満たしているか確認
    • ここで満たしていれば要求事項に適合していることとなり、実装にうつす
    • 満たしていなければ、程度に応じて要求事項の見直しや、解決策の練り直しを行う

ユーザーとは

  • 狭義のユーザー
    • 製品やシステムやサービスの利用によって便益を得る個人またはグループ
    • 直接ユーザー
      • 製品やシステムやサービスと直接的に相互作用する人
        • 一次ユーザー:一時的な目標達成のためにシステムと相互作用する人
        • 二次ユーザー:システムへのサポートを提供する人
    • 間接ユーザー
      • 製品やシステムやサービスと直接的に相互作用はないが、その出力を受け取る人
  • 広義のユーザー
    • 製品やシステムやサービスに関連する多様な人
    • サービスのデザイン
      • サービスを提供する人、サービスを運営する人、など

ユーザーの多様性

特性の多様性
  • 年齢、性別、障害、一般的身体特性、人種と民族、性格、知識、技能など
志向性に関する多様性
  • 文化、宗教、社会的態度、嗜好、価値態度など
状況や環境に関する多様性
  • 精神状態、一時的状態、経済状態、物理的環境、社会的環境など

ユニバーサルデザイン

  • 多様なユーザーに対して、それぞれの特性や利用状況に適合した形で製品やシステムやサービスを設計し、それぞれのユーザーが確実に目標を達成できるようにすること
    • バリアフリー:後付け的デザイン
      • 既存の製品やシステムやサービスに一部の人にとって利用困難な点が発見されたとき、それを除去する形で修正デザインを施すこと
    • ユニバーサルデザイン
      • 最初からユーザーの多様性を考慮してデザインを行うもの

ユニバーサルデザインとHCD

ユニバーサルデザインの7つの原則(ロン・メイス, 1977)

公平に使えること

デザインは、多様な能力を持った人々に使いやすく売れるものであること

柔軟に使えること

デザインは、好みや能力が人によって異なっていることに適応していること

単純で直感的に使えること

デザインされたものは、経験や知識、言語能力やその時の集中力の水準に関係なく、容易に使えるものであること

情報が分かりやすいこと

情報が知覚されるデザインは、周囲状況やユーザーの感覚能力に関係なく、効果的に情報を伝えられること

失敗に対して寛大であること

デザインは、偶然に、あるいは意図せずに何かをしてしまっても、危険な結果や不利な結果に至る可能性を最小に抑えること

身体的な努力を少なくすること

デザインは、効率的に、また心地よく使えて、疲労を最小に抑えるものであること

接近して使えるように大きさと空間の余裕を確保すること

ユーザーの身体の大きさや姿勢、移動能力に関係なく、接近し、手が届き、操作をし、利用できるよう、適切な大きさと空間の余裕を確保すること

人間中心設計入門の備忘録①

使いにくい

ユーザビリティ
  • 製品やサービスにおける「使いさすさ・使いにくさ」を図る尺度
  • さまざまな機能になるべく早く簡単な操作でアクセスできる
  • 使っていてストレスや戸惑いを感じない
ユーザビリティの有効さ
  • ユーザーが指定された目標を達成する上での正確さ、完全性のこと
  • 高齢者にとってはスマホよりも古い電話の方が有効だったりする(細かい文字が見にくいため)
ユーザビリティの効率
  • ユーザーが目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源
ユーザビリティの満足度
  • 製品を使用する際の不快感のなさ、および肯定的な態度
  • 大事な撮影シーンにビデオカメラのバッテリー切れ→次は使いたくない

嫌な気持ちになる

ユーザエクスペリエンス
  • 使いやすだけでなく、ユーザー体験を総合的に捉えること
    ユーザエクスペリエンスの時間的側面
    • ユーザーが製品やサービスを手に入れる前から、手に入れた後までの時間における体験を考慮すること
ユーザエクスペリエンスの状況的側面
  • ユーザーが製品やサービスを体験する環境や状況を考慮すること
# ユーザエクスペリエンスの人間的(感性的)側面
  • 多様な体験により一人一人の変化する気持ちを考慮すること

新しいことが生み出せない

デザイン思考
  • 人間中心設計を基本にした創造的なデザインアプローチを多様な分野で活用すること

HCD(Human Centered Design)

  • 利用者の特性や利用実態を的確に把握
  • 開発関係者が共有できる要求事項にまとめる
  • 設計する
  • ユーザビリティ評価を行う →より有効で使いやすい、満足度の高い商品やサービスを提供するための一連の活動プロセス

HCDサイクル

利用状況の把握と明示
  • ユーザーが何を求めているのか、またユーザーがどんな状況で使っているのかを知るためにユーザー調査を実施する
ユーザーの要求事項の明確化
  • ユーザーの情報と企業の条件を考慮して、目標を設定する
ユーザーの要求事項を満足させる設計によ解決策の作成
  • 目標を達成するためのアイデアを、プロトタイプによって視覚化する
要求事項に対する設計の評価
  • イデアが目標を満たしているのかを評価

HCDの目的とメリット

  • ユーザーの生産性や組織の作業効率を向上できる
  • 理解しやすく使いやすなることにより、訓練やサポート費用が削減される
  • 多様な能力を持った人々へのユーザビリティを高めることで、アクセシビリティが向上する
  • ユーザエクスペリエンスが改善される
  • 不快感やストレスが緩和される
  • ブランドイメージが向上するさせるような形で競争力がつく
  • サステナビリティという目標にも貢献

  • ノーマン(2013)

    • HCDとは哲学と進め方であり、インダストリアルデザイン、インタラクションデザイン、エクスペリエンスデザインの3つのデザイン分野が注目する領域のことである。
    • HCDの哲学と進め方は、製品やサービスがなんであれ、主な注力点がどこであれ、デザインプロセスに人間のニーズについての深い考慮と検討を付け加えるのものである。

HCDという考え方

  • 製品やシステムやサービスを、人間工学やユーザビリティの知識や技法を使って、そのシステムをより使いやすくすることを目指すシステム設計開発のアプローチ
  • ISO-9241-210での6つの原則
    • ユーザーやタスク、環境に対する明確な理解に基づいてデザインする
    • 設計や開発の期間を通してユーザーの視点を取り込む
    • 設計は人間中心的な評価によって駆動され、また洗練される
    • プロセスは反復的である
    • 設計はユーザーエクスペリエンスの全体に焦点を当てる
    • 設計チームには多様な専門領域の技能と見方を取り込む
  • HCDにおける目標達成
    • 基本的に目標達成を念頭に置き、目標達成が有効に効率的にできることを目指す
    • 適切な製品やシステムやサービスを提供することによって、人々の目標達成行動をできるだけ直線に近いものにしようとしている
      • ユーザーの現在地点=初期状態→そこから目標状態に向かって進もうとしている